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相続の基礎知識QA

信用情報を調査して被相続人の借金を把握したいのですが、手続方法の詳細を教えてください。

相続が発生して一番最初に気になること、それは亡くなった被相続人に借金があったかどうかですよね。

生前から家族が遺産をきっちり把握していたなんていう場合ならまだしも、現実には被相続人の財産の内容なんて正確にはわからないっていう場合が圧倒的に多いです。

亡くなってからしばらくして突然届いた金融機関からの督促状によって、初めて被相続人の借金の存在に気がついたなんてことも、全然珍しくありません。

こんな時、真っ先に調べなくてはならないのは、被相続人の借金の内容です。
これが分からならなければ、不動産や預貯金のようなプラスの財産の内容をいくら正確に調べても、相続すべきか相続放棄すべきかの決断なんてできませんよね。

また、被相続人の名義になっている不動産に家族が住んでいるなど、簡単に相続放棄を選択できない事情がある場合も、借金の内容を早急に把握しなければなりません。

返済が可能かどうかを含め、相続した場合に今後の生活の目処が立つかどうかを真っ先に検討する必要があるからです。

金融機関からの借入を調査するには、信用情報機関に情報開示請求するのが最も手っ取り早い方法です。

ここでは亡くなった被相続人の信用情報を調査して、金融機関への借り入れの内容を把握する方法を詳細にご説明します。

長い文章になるので、手っ取り早くポイントだけ知りたいという方は、下記の目次をクリックしてジャンプしてください。

信用情報を調査して借り入れの内容を把握する方法(目次)



信用情報調査では、銀行や消費者金融、クレジットカードなど、各種金融機関からの借り入れの情報を一気に把握することができます。

相続放棄を検討する場合はもちろん、相続した後に生活が成り立つかどうかを検討する場合など、金融機関からの借金の内容をスピーディーに把握するには必須の調査と言えます。

信用情報機関には、以下の3つがあります。
  • 全国銀行協会(銀行系)
  • JICC(消費者金融系)
  • CIC(クレジット・信販会社系)

  • 開示される情報の特徴

    1. 百円単位の端数は省略されている

      例えば残高が58,000の場合、以下のように記載されます。
      ・58千円(CIC)
      ・5.8万円(JICC)
      ・58千円(全銀協)

      そのため1000円未満の端数までは分かりません。


    2. 開示される借入残高は、開示された時点よりも1~2ヶ月程度過去の時点の残高

      信用情報には、開示された日付現在の残高ではなく、あくまで各金融機関が信用情報を更新した時点での残高が記載されます。
      (例えば、情報開示の日付が「3月10日」だった場合でも、記載されている残高は「1月31日」時点のものだったりします。)

      そのため、故人が死亡してから現在までの遅延損害金も含めた正確な借入残高は把握できません。
    とはいえ、借金の調査で最初にやらなければならないことは、どの金融機関にそれぞれどのぐらいの借金があるのか、総額はどのぐらいなのか、借金の全体的な概要を把握することです。

    例えば、借金の全体的な概要を把握した結果、プラスの遺産よりもマイナスの遺産の方が明らかに多いことが分かれば、速やかに相続放棄することを決断できますよね。
    この場合、細い端数や遅延損害金も含めた正確な残高は、それほど重要な情報ではありません。

    一方で相続するのであれば、 相続放棄の期限を気にする必要もなくなりますので、多少時間がかかっても、信用情報から明らかになった各借入先金融機関に残高証明書を請求することで、正確な借入残高を把握すればよいことになります。

    このとおり、借金の全体的な概要を把握することは、相続手続きの全体的な方針を決めるうえで、極めて重要です。

    そして全体的な概要をスピーディーに把握するには、信用情報調査以外に手段はありません。


    信用情報の開示は、必要な書類と情報さえ揃っていれば一週間程度で完了します

    ですが、書類に不備がある場合は全ての書類が返却されてしまうので、相当な時間の無駄になってしまうのは間違いありません。

    相続放棄を検討する場合は、原則として被相続人が亡くなってから3ヶ月以内という手続期限があるので、返却されて手続きをやり直すなどは絶対に避けなければなりませんよね。

    ですので、開示請求するなら、事前にきっちり必要書類と必要な情報を揃えておく必要があります。


    手続きは郵送請求前提で

    開示された信用情報は、必ず手続きした相続人本人の自宅あてに送られてきます。

    「JICC」と「CIC」では窓口での手続きも可能ですが、窓口で手続きした場合でも、開示された信用情報をその場で渡してくれるわけではないんですね。

    また、全銀協はそもそも窓口での手続きを受け付けておらず、郵送で請求するしかありません。

    信用情報は「JICC」「CIC」「全銀協」の3つが揃ってはじめて役に立ちます。

    そのため、「JICC」と「CIC」の分だけ窓口にわざわざ足を運んで請求しても、結局「全銀協」には郵送で手続きしなければなりません。

    これを考えると、はじめから全部郵送で開示請求したほうが、よっぽどわかりやすいですよね。

    ここでは、3つの信用情報機関全てに対して郵送による開示請求手続きをすることを前提にご説明します。


    必要書類と必要な情報

    1. 戸籍謄本(3セット)
    2. 開示請求する相続人の本人確認資料(身分証など2種類)
    3. 1000円の定額小為替(3枚)
    4. 信用情報開示申込書
    5. 被相続人(開示対象者)の電話番号または運転免許証番号
    6. (速達希望なら)切手280円(2セット)、300円の定額小為替(1枚)
    1.戸籍謄本(3セット)
    戸籍謄本は、被相続人の死亡の事実を証明するとともに、開示請求の手続きをする人が間違いなく相続人であることを証明する書類です。
    相続に関する手続きでは、おなじみの書類ですね。

    信用情報の開示請求手続きでは、提出した書類は一切返却されません
    そのため、戸籍謄本は3つの信用情報機関分、合計3セットが必要になります。

    できれば、信用情報調査以外の手続きで使用する分も含めて合計4セット揃えておくと他の手続き(相続放棄や残高証明書の取得など)にもスムーズに進めますね

    また、戸籍謄本は発行されてから3ヶ月以内のものでなければなりません。


    どんな戸籍謄本が必要になるの?
    信用情報の開示請求は、ややこしそうな相続関連の手続きとはいえ、実際は単なる調査の手続きに過ぎません。

    不動産や預貯金の名義変更など、権利関係を実際に変更・処分する場合と異なり、被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本を要求されることはないんです。

    信用情報の開示請求で要求される戸籍は、「手続きする人が相続人の中の一人であることが分かるもの」でOK。そんなにややこしいものではありません。

    例えば、妻と子供が二人いる夫が死亡した場合。

    妻が開示請求をするのであれば、夫が死亡し、かつ妻が夫の相続人であることがわかれば十分です

    夫の出生から死亡までの戸籍や、子供の戸籍などは必要ありません。

    夫が死亡してからかなりの時間が経過している場合を除けば、 亡くなった夫の戸籍謄本には、死亡の事実や妻のことも記載されているので、通常はこの1通だけでOKです。

    また、子供が開示請求をするなら、必要になるのは亡くなった父親の戸籍と自分の最新の戸籍の計2通ということになります。

    この2通を合計3セット(6通)用意すれば大丈夫ですね。


    兄弟姉妹や親が相続人となる場合は大変
    子供のいない人が死亡した場合、その親や兄弟姉妹が相続人になります。

    「親や兄弟姉妹が相続人」=「被相続人に子供はいない」ということなんですね。

    言い換えると、請求する親や兄弟が相続人(のうちの一人)であることを証明するには、死亡した人に子供がいなかったことを証明するしかないということになります。

    子供がいなかったことを証明するには、亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍を揃えなければなりません。

    過去の全ての戸籍に子供に関する記載がないことが、「親や兄弟姉妹が相続人」であることの証明になるわけです。

    親や兄弟姉妹から信用情報の開示請求をする場合は、戸籍を集める作業はかなり大変です。

    ましてやそれが3セット必要になるので。

    特に相続放棄を検討するために信用情報の調査をする場合は、戸籍の収集に時間をかけても全くいいことはありませんので、司法書士に頼んだ方がいいでしょう。


    2.開示請求する相続人の本人確認資料(身分証など2種類)
    運転免許証や健康保険証など身分証明書のコピーです。

    「JICC」と「全銀協」の開示請求では身分証のコピーは1種類で足りますが、「CIC」の手続きでは2種類の身分証が必要になるので、事前に用意しておきましょう。

    なお印鑑証明書や住民票を身分証明書として提出することもできますが、この場合はコピーではなく原本を提出しなければなりません。


    3.額面1000円の定額小為替(3枚)
    郵送で請求する場合は、定額小為替で手数料を支払います。
    開示手数料はどの信用情報機関も 「1000円」で共通です。

    郵便局で1000円の定額小為替を3枚購入しておきましょう。

    なお、定額小為替を購入する際は、1枚あたり100円の手数料がかかります。


    4.信用情報開示申込書
    信用情報開示申込書は各信用情報機関のホームページからダウンロードできます。

    記載例もダウンロードできるので、必ず参照しながら記入しましょう。

    【信用情報開示申込書のダウンロード】
    1. JICC(株式会社日本信用情報機構)
    2. CIC(株式会社シー・アイ・シー)
    3. 全銀協(一般社団法人全国銀行協会)
      (※)「本人開示の手続きは」の「法定相続人」をクリックしましょう。該当ページが出てきます。

    5.被相続人の電話番号または運転免許証番号
    「CIC」の信用情報開示手続きでは、開示対象者(被相続人)の電話番号または運転免許証番号が必須の情報とされています。

    電話番号や運転免許証番号がCIC側の情報と一致しない場合は開示してくれません。

    電話番号は、自宅・携帯はもちろん、職場など分かる限りの電話番号を全て記載しましょう。

    また、被相続人の運転免許証を返納していない場合は、運転免許証番号も必ず確認のうえ開示申込書に記載しておきましょう。


    6.(速達希望なら)切手280円(2セット)、300円の定額小為替(1枚)
    速達による信用情報の郵送を希望する場合は、定額小為替や切手が必要です。
  • JICC:300円の定額小為替
  • CIC:280円分の切手
  • 全銀協:280円分の切手
  • 速達にしなくても10日程度で信用情報は郵送されてきますが、時間節約のため速達での手続きをおすすめします。

    速達で手続きする場合は、各開示申込書にに次のように記載しましょう。
  • JICC:左上余白に「速達希望」と記載
  • CIC:「旧姓等開示希望記入欄」に「速達希望」と記載
  • 全銀協:欄外の余白部分に「速達希望」と記載


  • 信用情報の開示は、必要な書類と情報さえ揃っていれば一週間程度で完了します。

    【手続きの流れ】
    1. 必要書類と情報を集める
    2. 必要書類を各信用情報機関に郵送する
    3. 手続きをした相続人の自宅に開示された信用情報が届く

    1.必要書類と情報を集める

    信用情報の開示請求手続きで一番怖いのは、書類に不備があって提出した書類一式が返却されてしまうことです。

    残念ですが、不足した書類を追加で提出したり、記入に誤りがあった書類だけを提出し直すといった対応はしてくれません。

    書類一式が返却されてしまうと、不備を訂正したうえで、書類一式全部を送り直さなければならないので、非常に時間が無駄になります。

    自信がない場合は無理をせず司法書士などの専門家に相談しましょう。


    2.必要書類を各信用情報機関に郵送する

    郵送する書類はボリュームが多いので、封筒ではなくレターパックライト(通称「青レタパ」)での郵送がおすすめです。

    値段は360円で、封筒のように破れてしまう心配はないうえに「速達」扱い。
    こんな便利なものを利用しない手はありません。
    郵便局(一部のコンビニでも)で購入できます。

    なお、信用情報の開示請求手続きでは、返信用封筒は不要です。
    各信用情報機関が自社の封筒で開示情報を郵送してくれます。


    3.手続きをした相続人の自宅に開示された信用情報が届く

    開示された情報は簡易書留か本人限定受取郵便で郵送されてきます。

    本人限定受取郵便だと、不在だった場合に郵便局まで足を運ばなければなりませんので、おすすめしません。 時間節約のためにも簡易書留にしましょう。

    なお、「JICC」と「CIC」は、情報開示申込書に特に記載しない限り簡易書留で送られてきます。
    「全銀協」は、開示申込書で簡易書留か本人受取限定郵便かを選択するようになっているので、「簡易書留」にチェックマークを入れましょう。



    信用情報機関から送られてくる郵送物には、開示情報の読み方の説明書も同封されていますが、 借入などが全くない場合は別として、借入がある場合の解読はかなりややこしいです。

    というのも、各機関の開示情報に、同一内容の借入があたかも別の借り入れのように記載されている場合があるからなんですね。

    例えば、ひとつの金融機関でA契約とB契約の二口の契約がある場合、「CIC」の開示情報にはA契約とB契約の情報が両方載っているのに、「JICC」の開示情報にはB契約の情報だけが載っている、なんてことがあるわけです。

    さらに銀行カードローン。
    銀行カードローンの借り入れは保証会社がつきますが、まずカードローンの借り入れ自体は、当然「全銀協」の開示情報に記載があります。
    一方で、保証会社との保証契約は「JICC」や「CIC」のほうに記載されています。 これが結構ややこしい。

    例えば三菱東京UFJ銀行のカードローンの場合、保証会社はアコムが多いですが、カードローン残高は「全銀協」の情報に記載されている一方で、「JICC」や「CIC」のほうには「アコム」の名前が登場するわけです。

    保証契約の場合は、信用情報に必ずその旨の記載がされているので、注意すれば大丈夫ですが、ヘタをすると「アコムからも借り入れがある」なんて判断しかねません。

    結局は、各機関から開示された情報に記載されている借り入れの中で、「どれとどれが同じ借り入れなのか」を判断しないと、借金の全体的な概要も把握できないことになるんですね。

    同封の説明書を見ながら各開示情報を個別に判読すれば良いというわけではなく、3つ全部の開示情報を総合的に解読する必要があるというわけなんです。

    ですので、一番肝心な解読作業、これひとつとってみても一筋縄ではいかなかったりします。
    【解読作業のコツ】
    (1)同じ会社名が複数登場する場合は、「契約年月日」「残高」「契約額」に注意
    「JICC」と「CIC」の情報の中に、これらの記載が全く同一のものがある場合は、同一の借入と判断しましょう。


    (2)銀行カードローンの場合は保証会社に注意
    保証会社の場合は、信用情報の中に必ず「保証契約」という記載があります。
    その場合は保証会社に直接借入があるわけではありませんので、記載されている残高を借入の残高として計算しないように注意しましょう。

    被相続人の親や兄弟姉妹が開示請求する場合

    まず問題になるのが戸籍の収集です。
    被相続人の妻や子が開示請求をする場合は比較的簡単な戸籍で済むことがほとんどですが、親や兄弟姉妹が開示請求をする場合は、必要となる戸籍は難解で複雑。

    特に、早急に信用情報を調査する必要がある場合は、戸籍の収集なんかに時間をかけるべきではありません。

    司法書士に依頼して、迅速・正確に必要な戸籍を収集してもらいましょう。


    解読作業に自信がない場合

    信用情報の解読は、私たち司法書士のような専門家から見ても、決して簡単な作業ではありません。

    また解読を誤ると、借金の全体的な概要がつかめなくなってしまうので、最悪相続放棄すべきかどうかの判断を間違えてしまうことだってありえます。

    これは本当に取り返しがつかない事になってしまうので、信用情報の解読に自信がない場合は、無理をせず専門家に依頼しましょう。


    当事務所の場合は、戸籍の収集から書類の提出、届いた開示情報の解読作業まで全てこちらで行います。

    また、調査結果を目録と報告書にまとめて、依頼人にお渡ししています。

    目録に記載された借金の概要とプラスの遺産を照らし合わせて相続放棄すべきか等のアドバイスもしていますので、ご安心いただけると思います。



    1. 委任状は各信用情報機関所定のものを使用し、記入は日付も含めて全部依頼人に手書きしてもらう

      一昔前の銀行での預貯金解約手続きを思い出してしまいますが、信用情報機関の委任状の雛形には、「代理人が信用情報を請求する場合、全ての項目を自筆で記入してください」という記載があります。

      こんなことで書類一式返却されてしまってはシャレになりませんので、当事務所の場合、所定事項の記入は日付も含めて必ず依頼人に手書きしていただいてます。

      また、委任状は実印の押印が必要です。(3ヶ月以内に発行された印鑑証明書も要添付)

    2. 代理人が請求する場合でも開示情報は依頼人の自宅に届く

      各信用情報機関とも、開示情報を代理人の事務所に届けてくれません。
      あらかじめ依頼人にその旨を伝えたうえ、各機関から書類が自宅に届いたら事務所あてに郵送してもらうなど、しっかり事前に説明しましょう。


    いかがでしたか?
    今回は重要だけど意外に情報が少ない「信用情報の開示手続き」についての記事でした。
    読んでいただいた方に少しでも役に立つ情報だったらうれしいです。


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