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相続の基礎知識QA

遺産を調べたら、登記されていない未登記の建物があったのですが、どうしたらよいですか?

登記されていない「未登記」の建物は、じつはたくさん存在します。状況に応じて必要になる手続きを説明します。

親が亡くなったので相続財産を調べてみたら、登記簿に載っていない建物があった!

びっくりしますよね?

実は登記されていない建物って日本中にたくさんあって、「未登記建物」「未登記家屋」なんて呼ばれてます。

相続が発生して、ただでさえいろんな手続きに追われているのに、遺産を調べてみたら「建物が登記されてない!」なんて、とても焦ってしまいますよね?

今回は、未登記建物を相続した場合の手続きや注意点を、わかりやすく説明します。


未登記建物を相続した場合の手続きと注意点(目次)



建物が登記されていなくたって、しっかり固定資産税は課税されます。

役所から毎年送られてくる固定資産税の納税通知書、これには登記されていない建物でもしっかり記載されているんです。

ですので、そもそも建物が登記されていないことに気付かなかったっていう方が多いのではないでしょうか?

相続のときに遺産を調査して、その時初めて「建物が登記されてない!」ってことに気づく場合がほとんどです。

登記されていなくても、役所はきっちり建物の所在を把握して課税しています。
担当の方が足をつかって新しい家屋が建っていないか町中を確認して回っているのはもちろんですが、噂によれば、毎年航空写真を撮って、課税台帳や地図の記載と照らし合わせて調査してる自治体もあるとか・・・!

役所の課税能力、おそるべしですね!



このページは未登記の建物があるってことをすでに把握している方がご覧になっていると思いますが、一応調べ方も載せておきます。

建物をはじめ不動産のことを調べる場合は、毎年6月ぐらいに役所から送られてくる固定資産税の納税通知書を見るのが手っ取り早い方法です。

まずは納税通知書の記載を見て、「フムフム、これがあの土地でこれがあの建物、物置小屋がこれか。」といった具合に不動産をざっくり特定しましょう。

納税通知書の建物の欄に以下のような内容が記載されていたら、未登記の可能性大です。

  1. 「未登記」と記載されている

  2. 「家屋番号」が空欄

自治体によって納税通知書の記載内容がバラバラなのでなかなか厄介ですが、建物の部分には「所在」や「構造」「床面積」「屋根」などの記載が並んでいるはず。

その中に「未登記」と記載されている建物があれば、間違いなく登記されていない建物です。

それから「未登記」と書かれていなくても、「家屋番号」の欄が空欄になっている場合、これも未登記の建物になります。

建物が登記されると、法務局(国)が「家屋番号」を割り振りますが、登記されていない建物には「家屋番号」が存在しません。

ですので、納税通知書に家屋番号が載っていない建物は、未登記の可能性大です。


他にも私が経験したパターンだと、「家屋番号」の記載があるのに未登記だったってこともあります。

同じ土地の上に別々の小屋が複数建っていたのですが、すべて同じ家屋番号が記載されていたパターン。

おそらく、役所が便宜上家屋番号を割り振ったんだと思いますが、別々の建物のはずなのに納税通知書には同じ家屋番号が記載されている、こんな場合も未登記を疑ったほうがいいですね。


ここまで調査できたら、あとはお近くの法務局へ行って、登記簿を確認すれば完璧です。
窓口の人に「この土地の上にある建物の謄本を全部出してください」と言えば、親切に対応してくれると思います。

出てきた登記簿と納税通知書を見比べて、納税通知書には載っているのに登記簿が存在しない建物があれば、未登記建物であることが確定できます。

【ご注意点】
この他にも、もともと建物があった土地が分筆や合筆によって地番が変わってしまって、建物がある地番が行方不明になっているだけの場合もあったりします。
複雑なので詳しい説明は省きますが、もし建物が未登記かどうか判断が難しいような場合は、お近くの司法書士に相談しましょう。きっちり正確に調査します。


未登記建物も立派な相続財産なので、遺産分けの対象になります。

もともと相続人が一人しかいないのであれば遺産分けの必要はありませんが、相続人が複数いるのであれば、相続人全員で遺産分けの話し合いをして、その結果を「遺産分割協議書」に載せなければなりません。

登記されている建物なら、登記簿に載っている「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」をそのまま書けばよいですが、登記されていない建物の場合はどうでしょう?

この場合は仕方がないので、納税通知書に載っている情報をそのまま省略せずに遺産分割協議書に記載しましょう。

一応記載例を載せておきますと、

【遺産分割協議書への記載例】
不動産の表示
所在  ○○市○○町○○番地
構造 階層 屋根  木造 平家建 亜鉛鋼板葺
建築年次  昭和○○年
床面積  ○○.○○㎡
(未登記のため、○○市長発行の平成29年固定資産納税通知書の記載による。) 

要は「遺産分割協議書に載っている建物はこの建物のことですよ。」と特定できればよいので、納税通知書の内容をそのまま記載したうえで、「これは納税通知書に載っている情報ですよ。」ってことまで記載しておけば十分です。



一応、建物を建てたときは「1か月以内に表示登記(建物の物理的な状況を示す登記)をしないと10万円以下の過料に処します!」という法律がありますので、登記していない建物があると罰せられそうな気がしてしまいますが、現状日本には全く登記していない建物がゴマンとあります。

そして、登記していないせいで過料に処されたという話は聞いたことがありません。
結論からいうと、ほったらかしでも大丈夫、ということになります。

登記しないことのデメリットとしては、

  1. 建物を売れない
  2. 建物を担保にしてお金を借りられない
  3. 他人が勝手に住んでいた場合などに、「自分の建物だ!」と証明するのがちょっと難しくなる
などが考えられますが、登記していない建物は経済的な価値がない場合がほとんど。
むしろ持っていても税金ばかりがかかる負の財産と化している場合も多いので、わざわざ費用をかけて登記するっていう人は少数かもしれませんね。


ほったらかす場合でも、「所有者変更届」はしておこう

うえのほうでも言ったとおりですが、登記をせずにほったらかしておく場合でも、役所からはしっかり固定資産税の納税を求められます。

未登記建物に相続が発生した場合は、相続人の誰か宛に「納税通知書」が送られてくることになります。

相続人同士で遺産分割協議をして建物を誰が相続するか決めた場合には、建物を取得していない相続人に送付されてくる可能性もあるわけです。

登記をせずにほったらかす以上は、誰が建物を相続したのか役所は把握できませんので、文句を言うわけにもいきません。

ですので、未登記建物を相続した場合は役所に「所有者変更届」をして、「所有者が変わりましたよ」と知らせておきましょう。

この手続きの名称も、自治体によって「未登記物件相続届」や「所有者変更届」などバラバラですが、とにかく相続によって所有者が変わった、ということを役所に届け出ることで、建物を取得していない相続人に納税通知書が送られてしまうことを避けられます。

窓口で「登記しないなら過料ですよ!」なんて怒られることは一切ありませんのでご安心を。

必要になる書類は自治体によってバラバラですが、おおむね以下のとおりです。

     
  1. 遺産分割協議書(相続人全員の実印で押印)または
    「私は建物を相続してません」と証明する承諾書(それぞれ実印で押印)
  2.  
  3. 相続人の印鑑証明書

自治体によっては「戸籍謄本」や「相続関係説明図」などが必要な場合もあります。
役所に問い合わせてみましょう。



未登記の不動産は、登記をすることで売買ができるようになったり、担保に入れてお金を借りたりできるようになります。

加えて、登記をすることで「自分が所有者です!」ということを他人に対して主張できるようになるので、法律上もガッチリ所有権が守られます。

ですので、今後売却する可能性があったり、建物に経済的・心理的な価値があるのなら、登記は必ずしておきましょう。


相続を機に登記するなら、やるべき手続きは、以下の二つです。

  1. 建物表示登記(建物の物理的な現況を示す登記)
  2. 所有権保存登記(誰が建物の所有者なのかを示す登記)
この二つの登記をすることで、相続人が取得した所有権を国の登記制度でガッチリ守れるようになって、売買など取引の対象にすることもできるようになります。

ちなみに、この場合建物を取得した相続人の名義で最初から登記することになるので、亡くなった方の名義で登記してから相続人に名義を変更するいわゆる「相続登記」は必要ありません。

一応専門家としては、表示登記は「土地家屋調査士」、所有権保存登記は「司法書士」ですので、登記をするならぜひ相談してみましょう。



未登記の建物を解体する場合は、解体した後、役所に「建物を取り壊しました」ときちんと届け出ておくほうがいいです。

届出をしないと、いつまでも固定資産税を払い続けるはめになりかねません。

登記してある建物を取り壊した場合なら、取り壊した後に法務局で「建物滅失登記」を申請することになるので、これによって建物がなくなったことを役所のほうでも把握できます。

一方で、もともと未登記の建物の場合は登記簿そのものがないので、滅失登記もへったくれもありません。

ですので、取り壊したことをきちんと役所に知らせてあげないと、翌年以降も納税通知書が送られてくる可能性があります。

もちろん役所の人が建物がなくなっていることに気付いてくれる場合もありますが、こちらからきっちり知らせておくほうが無難です。

この手続きもまた役所によって名称がバラバラなのですが、「家屋滅失届出」というニュアンスの手続名にしている役所が多いです。

役所の窓口では「建物を壊したから手続きしたいんですけど。」と言えば大丈夫!



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