相続人の中に長年行方不明の人がいる場合でも、遺産分けの話し合いは相続人全員でする必要があるので、行方不明の方を抜かしての遺産分けの話し合いはできません。
住民票上の住所は判明しても、実際にはそこに住んでおらず、行方が全く分からないという場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を請求します。
不在者財産管理人は行方不明の方の利益を守るための職務を負うので、行方不明の方と利害が衝突することがないように、相続とは一切関係のない人がなるべきです。
選任された不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する権限のみを持っており、遺産分けの話し合いのように財産を処分する権限は持っていません。
ただし、別途、家庭裁判所の許可を得ることで遺産分けの話し合いができるようになります。
不在者財産管理人は、遺産分けの話し合いが終わった後も、引き続き行方不明の方の財産を責任をもって管理する義務があります。また、家庭裁判所への定期的な報告も必要です。
利用を検討する場合は、今後の状況も踏まえて、しっかりと検討する必要があります。
不在者財産管理人が遺産分けの話し合いをする場合、行方不明の方の利益のために、少なくとも法律で定められた相続分は、行方不明の方が受け継ぐという内容にしなければなりません。
※話し合いの許可を家庭裁判所に請求する際には、あわせて遺産分けの案を事前に提出しておく必要があります。提出した案と異なる内容の話し合いをまとめることは認められません。
不在者財産管理人の選任から家庭裁判所の許可を得られるまでには、場合によって申し立てから3か月以上かかる場合があります。お早めに専門家への相談をご検討ください。
当事務所でもご相談を承っておりますので、ご不安な方は無料相談をご利用ください。
なお、当事務所で手続きをした場合の費用はこちらになりますので、よろしければご参考になさってください。
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