専門家に頼んだ場合、 費用はどのぐらいかかるの？

遺産相続の手続きは、亡くなった方の遺産やそれを受け継ぐ方の状況によって千差万別です。そのため、これらの状況を確認せずに、一概に「費用はこのぐらいです」と説明するのは極めて難しいです。

最初に挙げた例もあくまで、不動産の名義変更の申請のみを依頼した場合であって、例えばこれに相続人や不動産の調査、遺産分割協議書の作成なども依頼すると、それに応じて費用も加算されるのが一般的です。また、報酬のほかに、国に納める税金（登録免許税）も発生します。

専門家への依頼を検討する際にポイントとなるのは、次の3点だと思います。

【1】報酬は相続人や財産の状況によることを事前に了解しておく

最初にも申し上げたとおり、遺産相続の手続きは相続人や遺産の状況によって様々です。これらの状況を確認してはじめて、必要な手続きを割り出し、収集・作成すべき書類を確定する事ができます。

また例えば、依頼の時点ですでに相続人や遺産の調査が済んでおり、さらに遺産分けの話し合い（遺産分割協議）もまとまっているという状態なら、あとは不動産等の遺産の名義変更をすればよいので、専門家への報酬もそれに応じて低くなります。
※この場合も、ご自身で収集・作成された戸籍や遺産分割協議書が実際に手続きで使える適法なものかどうか、という検討はする必要があります。

そのため、少なくとも専門家に相続人側の状況が伝わっていないと、報酬はもちろん採るべき手続内容の説明も難しいということになります。

相談するうえで一番大切なことは、費用は状況によることを了解したうえで、専門家に自分たちの状況を分からせる、ということだと思います。

私たち専門家側から言えば、いかに相談者から情報を引き出し客観的な状況や要望を把握するか、これがもっとも重要な最初の仕事ということになります。

【2】事前に手続内容と費用の見積もりの提示を受ける

これは当たり前のことですが、依頼を検討する場合は、必ず手続内容と費用の見積もりを明らかにしてもらいましょう。

必要になる手続内容や手続きで発生する税金等も含めた費用は、専門家が相続人側の状況を把握すれば提示できます。あわせて、相続人側の要望に沿った提案をしたり、反対に、要望に応じた手続きだとこんなリスクがあります、ということも説明できます。

また、稀に手続きの最中に相続人の内の一人が亡くなってしまうなど、状況や事情が変わることによって、追加で手続きが必要になったり、手続内容を変更する必要が出てきたりということもあります。
そのため、手続きの最中でも、専門家に自分たちの状況を分からせることが大切です。

専門家側としては、手続中も相続人の状況をしっかり把握するために、依頼者への報告・連絡・相談は必須となります。

当事務所では、ご依頼を受ける前に必ず手続内容の説明と費用のお見積りを提示することはもちろん、手続きごとの経過報告や、万が一予期しない状況が起こった際の迅速な連絡やご相談は欠かしません。

【3】報酬について不安がある場合は複数の相談を

報酬は、遺産や相続人の状況によっても、また依頼する専門家によっても様々です。
提示された報酬について不安がある場合は、別の専門家への相談を検討することをお勧めします。

専門家への相談は、一般的に敷居が高くて気軽にできることではないと思いますが、別の専門家にも相談することで、最初に説明を受けた手続内容が正確かどうかの確認や、報酬の比較はできるようになるかと思います。

また、遺産相続の手続きは、相続人への連絡の仕方一つでトラブルに発展する可能性もあります。そのため、依頼する専門家が事案に応じて個別の対応ができそうかどうかも、あわせて検討することがお勧めです。