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相続の基礎知識QA

「あなたの土地を買いたい人がいる」と見知らぬ不動産業者から電話が来て、お金を払ってしまいました。詐欺でしょうか?

売れない土地を持っている人に「買いたい人がいる」と持ち掛けて、測量費や管理費名目でお金をだまし取る手口が増えています。「原野商法の二次被害」とも言われています。

ここ数年、郊外や山奥の原野や山林、雑種地など、売りたくても売れない土地を持っている人をターゲットにした詐欺が流行っています。

「あなたの土地を買いたい人がいる」「あなたの土地を売ってほしい」と持ち掛けて、「売るためには先に測量が必要」とか「当社で販売のための管理をするから費用がかかる」などと、事前にお金を要求してくるパターンが常套手段。

これは、オレオレ詐欺ならぬ、「売れ売れ詐欺」です。

もともとは、数十年前に「原野商法」にひっかかって北海道や那須高原など山奥の山林や原野を購入した人をターゲットにしていたようですが、最近は単に「売れない土地の処分に困っていそうな人」にターゲットを拡大してきています。

例えば、山奥でもなんでもない、普通の地方の郊外に土地を持っている人。こんな人たちが新たにターゲットにされているのです。

では、実際にご自身が被害に遭ってしまった場合、どんな対処方法があるのか?そもそも被害に遭わないためにはどうすればよいのか?主にこの2点に焦点をあてて、説明させていただきます。


測量費・管理費詐欺(目次)




1970年代から、人の手が入っていないような山奥の土地を「何年後かには必ず値上がりする!」と言って売りつける「原野商法」という詐欺が流行しました。
引っかかってしまった人は、買い手が付きようもない価値のない土地を、処分もできず長い間持ち続けるはめになります。

そして、2010年ぐらいから、今度は原野商法に引っかかった人をターゲットにした新手の詐欺が流行してきます。

処分できない土地を購入してしまった人に「あなたの土地を買いたい人がいる」「あなたの土地を買い取らせてほしい」と持ち掛けて自宅を訪問し、「売却するには測量が必要」などと費用を要求する手口です。

要求する費用の名目は、「測量費」「管理費」「司法書士への登記費用」など実にさまざま。

金額は30万円~50万円が多いようですが、土地の処分に困っている人からすると「そのぐらいの費用であの土地を手放せるなら払ってもいいかな?」と、費用の前払いに応じてしまいがちです。

もちろん実際には買い手はいないので、土地を売却することはできません。
業者がやることといえば、土地に看板を立てたり、土地の写真を付けた適当なレポートを作るぐらいのもの。

原野商法の被害にあった人がさらに被害にあってしまうことから、「原野商法の二次被害」と言われています。

2014年に、大阪の不動産会社「株式会社未来土地コーポレーション」が詐欺罪で起訴されてからは、原野商法の二次被害も落ち着くのかと思われましたが、落ち着くどころか新たにターゲットを拡大して、静かに被害が広がっています。



ここ数年、原野商法の舞台となった山奥の原野や山林だけでなく、地方都市の郊外に遊休地などを持っている人をターゲットにして、同様の手口で費用をだまし取るケースが増えています。
例えば、バブル以前に宅地として開発された分譲地です。

売れ残った分譲地の処分に困った業者が、投資目的をうたって一般の人に販売していた例があります。
こういう土地は、原野商法に出てくるような山奥の無価値の土地ではなくて、閑散とはしていても、実際に周辺にぽつりぽつりと住宅があります。

本当は処分したいけど、売れないからそのまま放置してる。でも周りに家もあるし、状況によっては買う人がいそうな気配を漂わせているような土地。

新たにターゲットになっているのは、こういう土地の所有者です。
処分したいけど処分できずに困っている、という状況は、まさに原野商法と同じってわけです。

土地の所有者に、「今度あなたの土地の周辺に老人ホームができる」などと言って、「土地を買いたがっている業者がいる」とか「うちの会社に買い取らせてほしい」と持ち掛けてくるのが常套手段。

提示される買取価格は、予想以上の高額です。

そして、「老人ホーム」などと言われると、地方ではリアリティがあったりします。
老人ホームは、山奥とはいかないまでも、周辺にぽつぽつとしか住宅がないような場所にあることも多いからです。

あとは、原野商法の二次被害と同じパターン。やれ事前に測量が必要だとか、やれ売るための管理契約が必要だなどと言って、お金を要求してきます。
要求する金額は、やっぱり30万円から50万円ぐらいが多いみたいです。

30万円ぐらいの被害なら、「おかしい」と気付いても、行政や警察をはじめ、弁護士や司法書士に相談しない人も多いので、絶妙な金額と言えますね。

なかには、提携会社を名乗る別の業者がやってきて、売却のための媒介契約を結ぶこともあります。

業者がやることと言えば、土地に看板を立てて、インターネットに売却情報を掲載する程度。
もちろん買い手ははじめから存在しませんし、売却のための営業活動もしないので、土地は売れるわけがありません。

さらに悪いことに、次々に新手の業者がやってきて、工事費やら整地代、草刈や伐採費用の名目で、複数回にわたってお金をだまし取られるパターンが非常に多いです。

処分のできない土地を持って困っている人の心理に付け込んだ、巧妙な手口ですね。



お金を取り戻すには、前提として契約を解消しなければなりません。
これ以上余計な請求をされないためにも、契約を解消しておくことはとても大事です。

ここでは、状況に応じて、契約解消のために使える法律と契約解消の方法を説明します。


クーリングオフ

特定商取引法では、訪問販売で契約をした消費者を守るために、「クーリングオフ」という制度を定めています。
クーリングオフは、要件を満たせば理由なしの無条件で契約を解消できる非常に強力な制度です。

【クーリングオフの効果】
  1. 消費者は一切の経済的な負担を免れます。
  2. 事業者は、契約の解除による損害賠償や違約金の請求はできません。
  3. 事業者は、すでに消費者に提供したサービス(測量や管理など)があっても、その対価の支払いを請求することはできません。
  4. 事業者は、消費者から支払われたお金を速やかに返さなければなりません。
このとおり、クーリングオフはいうことなしに消費者を守る強力な効果を持っていますので、最初に検討すべきは「クーリングオフをつかえるかどうか?」です。


クーリングオフの要件
事業者は、訪問販売で契約をとりつけた場合、法律で定められた内容を正確に記載した書類(法定書面)を消費者に交付しなければなりません。

訪問販売の場合、消費者は必要事項が記載された法定書面を受け取ってから、その日も含めて8日以内なら、クーリングオフが使えます。

クーリングオフは、「解約します」という内容を記載した書類を事業者に送ることで行使しますが、8日以内に事業者に届く必要はなくて、8日以内に送れば(消印があれば)OKです。

クーリングオフは、いつ解約の書類を送ったかが重要になるので、内容証明郵便で送ることが大切です。
大きな郵便局に行けば送れますし、パソコンからだって「電子内容証明」を送ることができます。

法定書面が交付されていない場合や、交付されても不備がある場合は、クーリングオフの行使期間は進行しません。

ですので、最初に確認すべきポイントは2つ、「法定書面が交付されているか?」「交付されているなら不備はないか?」です。

交付されていない場合はクーリングオフが使えますし、不備があれば書面を受け取ってから8日以上たっている場合でもクーリングオフができますので、下記の内容が記載された書面が手元にないかどうか確認してみてください。

手元にそれっぽい書類がある場合は、書類と下記の内容をつき合わせてご確認ください。
下記の内容が抜けていれば「不備あり」なので、クーリングオフができます。

【法定書面の主な記載事項】
  1. 事業者の名称・住所・電話番号・代表者名
  2. 担当者の氏名(苗字だけでは「不備あり」です。)
  3. 契約の申し込み又は締結した年月日
  4. 役務(サービス)の種類
  5. 役務(サービス)の対価
  6. 対価の支払時期と支払方法
  7. 役務(サービス)を提供する時期
  8. クーリングオフに関する説明書き(赤枠で囲ったうえ赤字で記載してなければ「不備あり」です。)

よくある不備が、「担当者の苗字しか書いていない」パターン「複数サービスの対価の内訳が書いていない」パターン

担当者の苗字しか書いていない場合は分かりやすいですが、サービスの種類が複数ある場合は「サービスの種類ごとの対価」も記載していなければ不備ありとみなされます。

例えば、サービス内容が「看板作成・設置」と「物件概要報告書作成」、「マネジメント(管理)」の3種類ある場合は、それぞれのサービスごとの対価も記載していないと不備ありです。
複数サービスまとめて「○○円」と記載してもダメってことですね。

具体的にどの程度の不備ならツッコミどころがある書面といえるのか?の判断は難しい場合もあるので、地域の消費者センターや、弁護士・司法書士に相談しましょう。


クーリングオフの書面の記載例
記載すべき相手方業者の情報や契約内容については、業者から受け取った書面で確認してください。

●県●市●町●丁目●番●号 株式会社●●● 代表取締役 ●●●様

平成□年□月□日
〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 世田谷太郎 印

              解約通知書

私は貴社との間で締結した下記契約を解除します。
契約日 平成◎年◎月◎日
サービス名 ~
価格 金〇〇円 
担当者 ▲▲▲様

つきましては、私が支払った下記金額を速やかに返金してください。
金〇〇円
返金方法 現金書留

以上のとおり通知します。

代表取締役の氏名が不明な場合は、「代表者様」で大丈夫です。
それと、返金方法は銀行振込を指定しても良いですが、ご自分の口座情報を知られるのは気持ち悪いでしょうから、現金書留がおすすめです。


不実告知(ウソやでたらめ)による取り消し

訪問販売業者は、契約の勧誘をするときに、ウソやでたらめを言うこと(不実告知)が禁止されています。
常識的に考えれば当たり前のことのような気もしますが、特定商取引法は消費者を保護するための法律なので、こういったところも厳密に規定して消費者が守られやすいようになってます。

クーリングオフが難しい場合はこちらを検討することになりますが、日付などの簡単な要件さえ満たせば使えるクーリングオフに比べると、要件は厳しいです。

【禁止される不実告知】
  1. 役務(サービス)の種類・内容
  2. 役務(サービス)の対価
  3. 対価の支払時期・支払方法
  4. 役務(サービス)の提供時期
  5. 申し込みの撤回や解除に関する事項
  6. 消費者が契約の締結を必要とする事情に関する事項
  7. 上記以外でも、契約に関する事項で、消費者の判断に影響を及ぼすような重要なこと

もし、契約の際に上にあるような重要なことについてウソやでたらめを言われていた場合は、「不実告知による契約の取り消し」ができることになります。

ただ、「契約の時にこんなことを言われた!」ということを証明するのは簡単なことではありません。

それよりも、業者から交付された書類や資料、締結された契約の内容をもとに、不実告知に該当しそうな事実があるかどうかを確認することのほうが重要です。

例えば、同じような内容の測量・工事の契約が次々に締結されていた場合や、時期が重なる管理契約を複数回締結していた場合は、消費者にとって全然意味のない契約を繰り返していることになります。

常識的に考えれば、消費者に何の得にもならないような契約を繰り返すことは不自然ですよね?

こんな時は、これらの契約が「土地を売却するために必要不可欠」だと誤認させられた可能性があると言えます。

それから、契約資料に「売却希望価格」が記載されている場合は、時価と思い切りかけ離れている高額な金額になっていることがほとんど。

これも、測量や管理契約をすることで、売却希望価格に近い金額で土地を売却できるという誤認をさせられた可能性があると考えられます。

こういう事実を重ねていくことで、「消費者が契約の締結を必要とする事情に関する事項」や「契約に関する事項で、消費者の判断に影響を及ぼすような重要なこと」についての不実告知があった、と考えることができるのです。


不実告知による取り消しの行使期間
特定商取引法の不実告知による取り消しは「追認することができるときから6ヵ月」が経過するまでは可能です。

「追認できるとき」っていうのは、事業者が言ったことがウソやでたらめだったことに気付いたとき

つまり「ウソやでたらめを言われた!」とはっきり認識したときから6ヵ月は、取り消しができると考えればOKです。


不実告知による取り消しをしたらどうなる?(効果)
不実告知による取り消しをした場合の効果は、クーリングオフのように特定商取引法では定められていません。
そのため、取り消しの効果については民法が適用されます。

民法では、次のように規定されています。
  • 契約は初めからなかったことになる。
  • なので、お互いに受け取ったものや利益がある場合は、それぞれ相手方に返さなければならない。
  • ですが、不当な勧誘によって契約したことを重視すると、消費者が測量や管理契約で受け取った利益(成果)があったとしても、それは「押し付けられたもの」ということができます。

    なので、消費者は受け取った利益(成果)があっても、それに相当する金額を事業者に返す必要はないと考えるべきです。


    過料販売(不要なサービスを大量に押し付けられた場合)による契約解除

    他にも、消費者が通常では考えられない回数・期間・分量のサービスを受ける契約を事業者とした場合、それを理由にして契約を解除することもできます。

    「過量販売による解除」と呼ばれる方法です。

    例えば、同じ事業者から次々に同じ内容のサービスを受ける契約をした場合や、複数の事業者と同じような内容のサービスを受ける契約をした場合がこれにあたります。

    こういう場合、通常必要とされる分以降の契約については解除することができます。

    複数の事業者と同じような内容の契約をした場合は、新たに契約した事業者が、自分たちのサービスを提供することで「消費者が度を越えた分量のサービスを受けることになると知っていた」ことも解除の要件ですが、こういう「次々契約」の場合、会社名は違うけど会社の住所は同じだったり、代表取締役が同じだったりすることも多いです。

    つまり、会社名は違うけど実体上は同じ組織ってわけですね。

    会社の内容を調べるには、法務局でその会社の登記簿を取り寄せて調査することが重要です。
    会社の登記簿には、会社名や会社の住所、代表取締役の氏名など、多くの情報が記載されています。


    過量販売による解除の行使期間
    度を過ぎた量のサービスを受ける契約をしてから1年以内であれば、これを理由に解除ができます。


    過量販売による解除をしたらどうなる?(効果)
    過量販売により契約が解除された場合の効果は、クーリングオフと同じように特定商取引法で規定されています。

    不実告知による取り消しと違って、クーリングオフと同様にシンプルで強力な効果があります。

    ただ、繰り返しになってしまいますが、解除ができるのは、通常必要とされる分以降の契約についてだけ

    そのため、いかに強力な効果が見込める解除方法とはいえ、最初にした契約をどうするのか?という問題は残ってしまいます。

    【過量販売による解除の効果】
    1. 消費者は通常必要とされる分以降の契約について一切の経済的な負担を免れます。
    2. 事業者は、その契約の解除による損害賠償や違約金の請求はできません。
    3. 事業者は、すでに消費者に提供したサービス(測量や管理など)があっても、その対価の支払いを請求することはできません。
    4. 事業者は、消費者から支払われたお金を速やかに返さなければなりません。



    仲介業者との媒介契約は普通に解約できる

    売りたくても売れない土地を舞台にした次々販売では、提携会社を名乗る不動産仲介会社がやってきて、土地を売却するための媒介契約を結ぶこともあります。

    媒介契約は、土地を売るための仲介業務を、宅地建物取引業者(宅建業者)に依頼する契約で、宅建業者への報酬は土地が売れたときに初めて発生します

    宅建業者との媒介契約は、特定商取引法の守備範囲には入りません。
    ですので、特定商取引法は適用されず、民法の委任契約の規定が適用されます。

    民法では、委任契約はいつでも解除できると規定されています。

    一方で、「相手方にとって不利な時期に契約を解除した場合は、損害賠償しなければならない。」とも規定されています。

    民法は、特定商取引法のような消費者保護のための法律ではなく、消費者も事業者も対等の立場として定められた法律なんです。
    この規定は消費者にとってドキッとしますよね。

    でもご安心ください。
    媒介契約を中途解約しても、宅建業者に損害賠償をする必要はありません。

    土地の媒介契約は成功報酬型の契約です。
    ですので、媒介契約を途中で解約しても、売却に成功したなら発生したであろう成功報酬に相当する額の損害は、よっぽどの事情がない限り発生しないと考えられています。



    クーリングオフなどの強力な方法で契約を解消しても、事業者によってはすんなりとお金を返してくれません。
    むしろ、クーリングオフされる前提で訪問販売をしている事業者のほうが多いでしょう。

    契約を解消してもお金を返してくれないのであれば、まず頭に浮かぶのは「訴訟」です。
    今まで説明してきたように、法律にのっとって契約を解消していれば、「お金を返せ!」と訴訟をすれば勝てるでしょう。結果、裁判所から確定判決をもらえます。

    ただし、問題はここから。

    事業者は、訴訟に負けたからと言ってすんなりお金を返してくれるとは限りません。
    むしろ、ここまで来たら返さないという事業者も多いでしょう。

    事業者が自らお金を返してくれないなら、本来であれば「強制執行」の手続きに移ります。
    確定判決をもらっている場合、事業者の口座を差し押さえたりできます。

    しかし、強制執行ができるのは、あくまで事業者の口座などをこちらが把握している場合だけ。

    事業者側も手は打っているもので、消費者からの金銭の受け取りを口座振り込みではなく現金手渡しでやっていたりします。
    これだと、事業者の口座の情報はわかりません。

    また、口座が分かっていても、いざ強制執行をかけてみたら口座が空っぽだったということもあります。

    結果として、訴訟から強制執行という手続きは、あまり効を奏しないことが多いです。


    おすすめは、行政が設置する機関によるあっせん

    行政が設置する紛争処理の機関としては、「国民生活センター」や「消費生活センター」があります。

    皆さんも聞いたことがありますよね?

    2つともイメージが似ていてややこしいのですが、「国民生活センター」は国の機関、「消費生活センター」は都道府県をはじめ自治体が設置する機関です。
    消費生活センターは、自治体によって名称がいろいろなのでさらにややこしいんですが、ここでは「消費生活センター」で統一します。

    不動産に関する契約トラブルの多くは、宅建業者が絡んでいることが多いです。

    宅建業者は、国土交通大臣(国)か都道府県知事から免許を受けて営業活動をしています。
    ですので、クーリングオフなどによって契約を解除しているにもかかわらず業者がお金を返してくれないときは、国がやっている「国民生活センター」や、都道府県がやっている「消費生活センター」に相談して、解決のためのあっせんや調停をしてもらいましょう。

    宅建業者に対しては、心理的に大きな効果があるはずです。

    「消費生活センター」は市区町村が設置しているところもありますが、都道府県が設置しているところに行きましょう。
    宅建業者は、市区町村ではなく、国か都道府県から免許を受けているからです。

    重要な紛争と判断されれば、「国民生活センター紛争解決委員会(国)」や「消費者苦情処理委員会(都道府県)」で処理されることになります。



    できれば手放したい!と思いながら、土地を処分できずに困っている心理に付け込んでくる手口は、とても巧妙です。
    どんな人でも引っかかる可能性があると思います。

    最後に、被害にあわないために私から言えるアドバイスです。

    【被害にあわないためのアドバイス】
    1. 「価値のない土地はまず売れない」を再認識
    2. その場で契約は、絶対にしない
    3. セールストークの裏をとる
    4. 家族ではなく、詳しい人に同席してもらう
    5. 専門家への相談を!


    「価値のない土地はまず売れない」を再認識

    大事なことは、「価値のない土地はまず売れない」という現実。
    子供に相続させたくない!なんとか自分の代で処分したい!という気持ちは、痛いほどよくわかります。

    でも、考えてみてください。

    その土地は、固定資産税がたくさんかかってしまうような土地でしょうか?
    相続が発生したときでも、相続人同士で押し付けあうハメになるほど、負担になる土地ではないはずです。

    であれば、今絶対に処分しなければならないような、差し迫った事情はないでしょう?

    差し迫った事情がないなら、見知らぬ業者から持ち込まれる買い取り話しに振り回される必要はありません。


    その場で契約は、絶対にしない

    中には、「今契約していただかないと、売却できなくなります」などと急かしてくる場合もあるでしょう。
    でも、もし本当に買いたい人がいるのなら、その場で何かの契約をせずとも売れます。
    だって、買いたい人と売りたい人がいるのですから。

    その場で契約をするのは、相手の思うつぼです。十中八九、新しい業者がやってきて「次々販売」のカモにされます。


    セールストークの裏をとる

    セールスマンが「近くに老人ホームができるから」などと言って、高額な買取希望価格を提示するのがこの手口のパターン。
    そんなときは、本当に老人ホームができるのか、その土地の役所に問い合わせて確認しましょう。

    不動産は、どんな土地でも高額な取引になります。業者の情報をうのみにするのではなく、自分で動いて情報を集めるのは大切なことです。


    家族ではなく、詳しい人に同席してもらう

    役所などで周知している原野商法二次被害の注意喚起では、家族の同席をアドバイスしているものがあります。
    ですが、この手口は同席した家族ごと引っかかってしまうことが多いです。

    おそらく、一見すると難しそうな「不動産取引」の話になるからですよね。

    「不動産を売りに出すには事前に測量やら管理契約やらややこしい手続きが必要?そういうものなのかな?」と考えてしまうのも仕方がないのかもしれません。

    ですが、まともな取引であれば、売主が一方的に費用を負担しないと売れないなんてことはありません。

    確かに、売却の前提として土地の測量をし直すことはよくありますが、測量費用は取引の決済の時に、受け取った売買代金から清算するのが普通です。
    まともな取引の決済の場には司法書士がいて、資金の清算も見届けます。

    もしセールスマンが訪問してくるのなら、できれば家族ではなく、不動産に詳しい人(近所の不動産屋さんや司法書士)に同席を頼みましょう。
    むしろ、見知らぬ不動産業者から「あなたの土地を買いたがっている人がいる」なんて電話が来たら、「そうですか。じゃあ売ります。司法書士を用意しておきますんで、書類と現金用意してくださいね~。」ぐらいのことを言ってやりましょう。
    詐欺目的の業者であれば、電話はすぐに切れると思います。


    専門家への相談を!

    契約して費用も払ってしまった場合は、最初の動き方が肝心です。
    クーリングオフには期限があったり要件があったりするので、最初の動き方を間違えると、状況が悪くなってしまいます。

    おかしい!と思ったら、すぐに消費生活センターや弁護士・司法書士に相談しましょう。
    必ず役に立つアドバイスをもらえるはずです。



    処分したいけど処分できない土地。これに付け込んで費用をだまし取ることは、許される行為ではありません。

    現在、行政は「原野商法の二次被害」として実態の把握に努めていると思われますが、この手口は原野商法とは関係のない土地を持っている人もターゲットになっています。

    なので、いくら「原野商法の二次被害にご注意を!」と周知しても、なかなか皆さんの耳には入ってきませんよね。

    私は司法書士ですが、相続の相談を受けたときに「そういえば亡くなった父が持ってたこの土地、お金払って売りに出したみたいだけど、全然売れなかったんだよね~」といった具合に、亡くなった被相続人が被害にあっていたことに家族も全く気付いていないことがあります。

    巧妙な「売れ売れ詐欺」にご注意を!


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