ホーム > 相続の基礎知識QA > 相続放棄の申述の有無を確認したいのですが、どんな方法がありますか?
相続の基礎知識QA

相続放棄の申述の有無を確認したいのですが、どんな方法がありますか?

相続放棄の申述がされているかどうかは、裁判所に照会することで確認できます。

ある日突然、亡くなった兄の債権者から「あなたが相続人になったので、お兄さんの借金を返済してください」と通知が来た。 亡くなった兄には子供がいるはずだけど、、、、、!

これって、ものすごく焦りますよね?

こんな時は、先順位の相続人が相続放棄したことで、あなたが相続人になっている可能性があります。

自分よりも先順位の相続人が相続放棄をすると、相続放棄した人は、はじめから相続人ではなかったことになります。
そして、先順位の相続人が全員相続放棄すると、次の順位の人が相続人となるのです。

例えば、亡くなったお兄さんの第一順位の相続人はその子供ですが、その全員が相続放棄したら、次の順位の人が相続人になるというわけですね。

次の順位の相続人は誰かというと、亡くなったお兄さんのご両親。
そのご両親もすでに亡くなっている場合は、さらに次の順位の「被相続人の兄弟姉妹」が新たに相続人に。

巡り巡って知らないうちに自分が相続人になっているのかも!
こんな時は、どうしたらよいでしょうか?


自分が相続人になったかもしれない!こんな時どうする?(目次)



最初にすべきことは、自分が本当に相続人になっているのかを確認することです。
そのためには、先順位の相続人(お兄さんの子供たち)が相続放棄したのかどうかを確かめる必要があります。

先順位の相続人と険悪な関係でなければ、直接聞いてみるのがよいでしょう。
「相続放棄した」と聞き出せたら、あわせて全員分の「相続放棄申述受理通知書」のコピーを送ってもらいます。

「相続放棄申述受理通知書」とは、相続放棄の申述が受理された場合に、裁判所から申述人に交付される書類です。

他にも、より証明力のある「相続放棄申述受理証明書」という書類がありますが、相続放棄がされた事実を確認するためであれば「相続放棄申述受理通知書」を見せてもらえば十分。

先順位の相続人(お兄さんの子供たち)全員が相続放棄したことが確認できれば、(ご両親がすでに死亡しているのなら)弟であるあなたが相続人となったことが確定します。

先順位の相続人が相続放棄したことが分かった場合でも、「なんで相続放棄したことを知らせてくれなかったんだ!」と怒ってはいけません。

相続放棄した場合でも、それを自分より後順位の相続人に通知する義務は負いませんし、また裁判所も新たに相続人になる人に通知することはありません。

また、相続放棄の申述を専門家に依頼した場合は、新たに相続人になる人に通知することもありますが、あえて通知しないことも多いです。

相続放棄の申述は、自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内に行う必要がありますが、相続放棄したことを後順位の相続人に知らせることは、この期間を強制的にスタートさせることになります。

つまり、新たに相続人になった人に対応を迫ることにもなるのです。

例えば、新たに相続人になる人が入院している場合や認知症になっている場合、相続人になったことを知らせて強制的に対応を迫ることは果たして得策か?
対応が難しそうな状況であれば、強制的に相続放棄の申述期間がスタートするのを避けるために、あえて通知しないということは大いにあり得ます。

なので、もし誰かが相続放棄したことで、新たに自分が相続人になったことを知った場合でも、冷静に処理することを心がけましょう。



例えば、先順位の相続人との関係が険悪であったり、何年も連絡を取っていないような場合、相続放棄をしたかどうかを直接聞きだせないことがあります。

こういう場合は、相続放棄の申述を受理した裁判所に「相続放棄の申述があったかどうか」を直接照会する方法がおすすめです。

相続放棄の申述が受理されていれば、事件番号や受理年月日が裁判所から回答されることになります。
この回答がもらえれば先順位の相続人が相続放棄したことは確定ですし、事件番号や受理年月日さえ分かれば先順位の相続人が相続放棄したことを証明する「相続放棄申述受理証明書」の発行も別途請求できます。

一方で、相続放棄の申述が受理されていなければ、その旨の回答がもらえます。受理されていなければ、自分が相続人になったとはいえません


どこの裁判所に照会するか?

相続放棄の申述を受理した家庭裁判所に対して照会することになります。
具体的には、「被相続人の最後の住所地(亡くなったときの住所地)を管轄する家庭裁判所」です。

家庭裁判所の管轄については、裁判所のホームページで調べられます。


どんな書類が必要か?

ここでは一例として、東京家庭裁判所の必要書類を記載します。
が、必要書類は裁判所によっても相続人の状況によっても異なりますので、必ず事前に管轄の裁判所に確認しましょう。

  1. 相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書
    及び、被相続人等目録
  2.  
  3. 被相続人の住民票の除票(死亡した旨・本籍地の記載があるもの)
  4.  
  5. 被相続人の最後の戸籍(除籍)謄本(死亡の記載のあるもの)
  6.  
  7. 照会するあなたの住民票(本籍地の記載があるもの/発行から3か月以内のもの)
  8.  
  9. 照会するあなたの戸籍謄本
  10.  
  11. 相続関係図
  12.  
  13. 返信用封筒(切手を貼ったもの)
  14.  
  15. (場合によって)相続関係を証明できるその他の戸籍(除籍)謄本


1. 相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書・被相続人等目録
家庭裁判所に相続放棄の申述がされているかを照会するには、「照会申請書」と「被相続人等目録」が必要ですが、この書類は2つでワンセットです。
書類のひな形は東京家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。


相続放棄申述の有無についての照会申請書・被相続人等目録の記載方法
照会申請書・被相続人等目録の記載方法を、分かりやすい事例を挙げて説明します。

【参考事例】
  • 被相続人(亡くなった方):世田谷太郎
  • 相続放棄したかどうかを調べたい対象(照会対象者):
    世田谷一太郎(被相続人の長男)、世田谷二太郎(被相続人の次男)
  • 調べたい人(照会者):世田谷次郎(被相続人の弟)

スマートフォンなどで画像が表示されない方は、こちらからどうぞ。
相続放棄申述の有無についての照会申請書・被相続人等目録の記載例

照会申請書には、照会したい期間を入れるチェックマークがありますが、被相続人の死亡日が平成12年以降であれば、記載例のとおりにチェックを入れてください。照会できる期間が最も長くなります。


2. 必要になる戸籍謄本について
今回の例のように、被相続人の第一順位の相続人である子供たちが相続放棄をした結果、被相続人の弟が新たに相続人になった場合、相続関係を証明するための戸籍謄本は、かなりややこしいことになります。

なぜなら、次の事実を証明するだけの戸籍が必要になるからです。
  1. 被相続人の第一順位の相続人は、子供たちだったこと
  2. 子供たち全員が相続放棄した(かもしれない)ことによって、第二順位の「被相続人の両親」が相続人になること
  3. 第二順位で相続人となるはずの「被相続人の両親」はすでに死亡しているので、第三順位の「被相続人の兄弟」が相続人になること

まず「1」「2」の事実を証明するには、被相続人の子供たちが「これで全員」であることを証明する必要が出てきます。
子供のうち一人でも相続放棄していない人がいるのであれば、被相続人の弟が相続人になることはないからです。

さらに、第二順位の相続人である「被相続人の両親が死亡していること」も証明しなければなりません。

そうすると、結局のところ必要になる戸籍謄本は以下のとおりになります。
  1. 被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
  2. 被相続人の両親の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
  3. 照会する自分自身の戸籍謄本

戸籍の収集はかなりややこしいことになるので、専門家、特に相続関係に慣れ親しんでいる司法書士に相談することをおすすめします。


3. 相続関係図について
相続関係を示す図のことです。家系図のように記載するのが一般的です。
不動産の相続登記の際につけるような厳密なものである必要はありませんが、それでも生年月日や死亡年月日程度は記載したほうが良いでしょう。

相続関係図作成例
スマートフォンなどで画像が表示されない方は、こちらからどうぞ。
相続関係図作成例


手数料は?

相続放棄の申述の有無の照会は、手数料はかかりません。無料でできます。
なので、裁判所の手続きで通常必要になる収入印紙は用意する必要がありません。

あとは、返信用封筒に切手を貼るのを忘れずに!



相続放棄した人から「相続放棄申述受理通知書」を見せてもらうにしろ、裁判所から事件番号や受理年月日の回答を得るにしろ、自分が相続人になっていることが確認できたら、やることはひとつです。

あなたも相続放棄をしましょう。

厳密にいえば、相続財産の調査もやってから相続放棄するかどうかを検討すべきではありますが、先順位の相続人が相続放棄したぐらいなので、マイナスの財産のほうが多いことはほぼ確実です。

もし、先に相続放棄をした人の協力が得られるのであれば、遺産の内容についても教えてもらったほうが良いですが、すでに債権者から督促や請求が来ているということであれば、調査もそこそこに相続放棄を検討したほうが現実的です。

相続放棄をすべきか迷う場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。必ず役に立つアドバイスがもらえます。



せたがや相続相談プラザを運営するフィデス世田谷司法事務所は、世田谷区三軒茶屋の司法書士事務所です。
みなさまにとって一番安心できる相談先を目指しています。
相続問題で不安や悩みをお持ちの方は当事務所の無料相談をご利用ください。
初回はすべて無料です。相続手続きの無料相談受付中!
初回はすべて無料です。相続手続きの無料相談受付中!
PageTop

トップ

こんな時どうする?

選ばれる理由

ご相談の流れ

料金表

アクセス

お客様の声

司法書士のメリット

相続の基礎知識QA