でも最近は、相続をきっかけに「今後のお墓の管理をどうするか?」という問題が持ち上がることが多いです。
お墓(墓地・墓石)は、法律上相続財産とはみなされないので、亡くなった方が管理していたお墓があっても、相続税は課税されませんし、遺産分けの話し合いの対象にしなくても問題ありません。
一方で、現実的にそのお墓を今後どうするのか?誰が管理していくのか?という問題は残るんですよね。
ここでは、亡くなった方が生前管理していた先祖代々のお墓があった場合に、「今後の管理方法を決めるにはどうしたらよいのか?」についてご説明します。
通常は遺産分けの話し合いとあわせて、今後の維持管理についても身内同士で話し合うことになりますが、そのためには前提としてお墓が現状どのように管理されているのか?ということも調査しておく必要がありますね。
先祖のお墓の相続について(目次)
1.お墓に相続税はかかるのか?
お墓は、自宅などの不動産や預貯金といった相続財産とは異なり、「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれます。祭祀財産には、お墓のほか仏壇や位牌などが含まれます。
これらは経済的な価値のある財産ではないので、お墓を受け継ぐ場合は相続税はかかりません。
2.お墓の調査
お墓は、他の不動産と同様に所有者の名義で登記されている場合と、登記されていない場合があります。例えば、先祖代々世田谷区に住んでいて、お墓を一族で所有・管理してきたというような場合は、相続が発生するたびに長男の名義に登記されている場合が多いです。
先祖代々のお墓を所有している場合(不動産登記がされている場合)は、他の不動産と同様に権利証や登記簿でお墓を正確に特定し、受け継ぐ人が決まったら相続登記(名義変更)をします。
※お墓は課税の対象ではないので、毎年役所から送られてくる「納税通知書」には記載されていません。
一方で、墓地はお寺や霊園の所有で、そもそも利用者名義の登記はされていない場合もあります。
墓地を所有しているのではなく、お寺や霊園から「借りている」という場合です。
例えば、亡くなったときは世田谷区に住んでいたけれど、もともとは幼いころにご両親とともに家族で地方から世田谷区に移り住んだ、という方に多いケースです。
この場合は、お墓の相続登記(名義変更)をする必要はありませんが、お墓の現状を把握して、今後故人に代わって誰が管理していくのかを話し合ったうえで、必要な手続きをします。
お墓の現状や必要になる手続きの確認は、故人の財産調査で明らかになった資料(通帳や契約書など)やご家族が把握している情報をもとに、お寺や霊園の管理者に対して行います。
調査すべき内容は、主に以下の3点です。
- お寺や霊園に支払う維持管理費はどのぐらいかかるのか?
- お墓を受け継いだらやらなければならないことはあるか?
※例えば、お寺の行事に参加しなければならないか?など - お墓を受け継ぐ手続きの方法(必要書類など)と費用
相続人がその地方と疎遠になってしまってお墓の管理者を特定できないような場合は、自治体に備え付けの墓地台帳の調査が必要になることもあります。
3.お墓を受け継いだら、何をしなければならないか?
お墓を受け継いだ人は、一般的には以下のことをやる必要があります。- お墓の管理者(お寺や霊園)への維持管理費の支払い
- お墓の手入れや供養(墓参り)
- お墓の処分や引っ越し、分骨などの決定
- 法要を執り行う
- その他、お寺の行事などへの参加
お墓の手入れは、あくまでもお墓を受け継いだ人がやるべきこととなります。
また、お墓の手入れや墓参り、法要などは必ずやらなければならないという決まりはありません。お墓を受け継いだ人に委ねられることになります。
4.お墓を受け継ぐ人を決める
お墓は、相続放棄した方や、亡くなった方の相続人以外の方でも受け継ぐことができます。現実的には、誰がお墓を受け継ぐかについては、遺言などによる指定がある場合を除いて、身内同士での話し合いによることがほとんどです。
最近は、地方にあるお墓の管理がどうしても難しいことが増えてきているため、その地方に住んでいる親戚などに管理を委ねることもあるようです。
代々のお墓がある地方とどうしても疎遠になっていて、お墓参りにも長いこと行けないでいるような場合は、近所の霊園などにお墓を移すことも検討したほうが良いかもしれません。
お墓の引っ越しには、離檀料(それまでお墓があったお寺に支払うお布施)など含めて、高額な費用がかかるので注意が必要です。
小家族化や単身者の増加とともに、亡くなった方が先祖代々管理していたお墓を、今後どうするか?という問題が表に出てくることがあります。
亡くなった方が管理していたお墓がある場合は、しっかりと現状を調査し、ご家族の今後の状況もふまえて検討することが重要です。
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